交渉術
- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/01/30
- メディア: 単行本
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この人、私から見ると立場とか思想がすごく偏っているようなイメージがあるのだけど、自らの経験を元にして、読み物として非常に秀逸な文章を書きますね。
ロシアの重要なポストに就いていた人たちと非常に太い人脈を構築したり、情報収集でよい結果を残してきただけあって、対人コミュニケーションのあり方や、得た物事から大事な要素を取り出すのが上手なんでしょうね。狙った相手にどういう事をどういう風に伝えれば有用なのかを知り尽くしているのだと思います。
政治の世界で起きている裏側なんかも披露されてて、「へぇ、あのときはそういうことがあったのか」と感心しました。森元首相なんかも、「言わなくていいことばっかり言ってて、すぐ辞めた人」とか「なんだかよくわからないけど、政局でいつも口出す人」というイメージだったのですが、この本を読む限りはなんか色々頑張ってた人なんだなぁと感心しました。
あと、ひどい目に遭わされたからかもしれないけど、キャリア官僚に対する裏事情暴露の部分は遠慮ないですね(笑)「アルマジロ」になっちゃう人の話なんかは、「おいおいこんな人たちが"えらい人"をやってるのか」とドン引きすること請け合い。鈴木宗男氏の本には「赤ちゃんプレイ」だとか何とかもっと詳しく書いてあったけど……
もう一つ驚いたのが、米原真理氏が結構えぐい感じでロシアに関与してたんだなぁと言うこと。まあ、客観的に考えるとロシア語通訳でそれだけ重要な地位を築いてきたのだから、単なる通訳です、って言うことはあり得ないのですけどね。彼女の著書を読んでいると非常にあっけらかんとしてユーモアにあふれた文筆家のイメージなので、ギャップがすごかったですね。
また他にも佐藤氏の本を読んでみたいと思うのですが、ネタがパターン化されてたりしないかとちょっと不安なところもあります。